建物を取り壊したら建物滅失登記が必要です。
実家を取り壊したのですが、何か手続きが必要ですか?
お問合せありがとうございます!建物を取り壊したら「建物滅失登記」をする必要があります。ですが登記が必要ないケースもありますので、まずはお話を伺わせてください。
今回は建物滅失登記の下記についてのお話になります。
- 建物滅失登記とは?
- 誰が申請するの?
- 申請に必要な書類は?
- 申請しないとどうなる?
- 滅失登記が必要ないケースもある!?
建物滅失登記とは?
建物滅失登記とは登記されている建物を取壊したとき法務局にある登記簿を閉鎖する手続きのことです。
ですので未登記(登記されていない)建物の場合はそもそも登記簿がないのでこの手続きが不要です。
また、建物滅失登記は取り壊してから1か月以内に申請しなければならないと法律で定められています。つまり申請義務があり、手続きを怠ると10万円以下の過料に処せられることがあります。(不動産登記法第164条の規定)
そうなんですね。罰則の規定もあるようですし、登記しないといけないんですね。
(建物の滅失の登記の申請)第57条
1.建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
不動産登記法第57条
誰が申請するの?
原則、取壊した建物の登記簿に記載されている所有権登記名義人(または表題部所有者)が申請します。お亡くなりの場合は相続人の1人からの申請も可能です。
つまり登記申請は誰からでも申請できるわけではなく、所有者や相続人に限られることになります。
申請に必要な書類は?
- 登記申請書
- 建物滅失証明書・・・・解体業者の取壊し証明書、焼失であれば消防署からの罹災(りさい)証明書)
- 現地案内図、現地写真
登記簿に記載住所と現住所が違う場合や相続が発生している場合は次の書類等が必要になってきます。
- 戸籍謄本など
- 住民票や戸籍の附表
当所にご依頼いただける場合は委任状が必要になりますが、相続書類以外の必要書類の手配はこちらで承ります。
申請しないとどうなる?
前述しておりましたが、申請を怠ると10万円の過料に処せられる可能性があります。加えて、場合によっては存在しない建物に固定資産税がかかるなんてこともあるようです。
またすぐには困らないだろうと放置していても、将来土地を売却しようとしたときに滅失忘れの建物登記簿の存在が明るみになり、やっぱり建物滅失登記をすることになります。
そしてこの時点で建物所有者に相続が発生していると、当時必要のなかった相続書類が必要になり手間と費用がかさむことになります。
滅失登記が必要ないケースもある!?
そうなんです!実は前述しているのですが、建物を取り壊しても「登記されていない建物」だった場合は滅失登記を申請する必要がありません。
でも、登記されているかどうかなんて何をみれば分かるんですか?
では、取り壊した建物が登記されている建物か登記されていない建物かの一般的な判断手順をご紹介させていただきます。
【手順】
- 建物が建っていた土地の地番を調べる。(固定資産税の納税通知書、名寄帳やブルーマップなどから調べる)
- 土地の地番が分かったら法務局の「土地の登記簿」と「公図」を取得する。
- 前手順で特定した建物が建っていた地番に存在する「建物の登記簿」と「建物図面・各階平面図」を調べる。
- 建物図面・各階平面図や建物登記簿記載の種類・構造・床面積から判断する。
- 固定資産税の納税通知書や名寄帳と比較して一致しているか確認する。
※ ブルーマップとは土地の「住所」と「地番」両方が記載されている住宅地図のことです。法務局に1冊は置いてあります。
まず、お手元に固定資産税の納税通知書か名寄帳があると判断が早くなります。
納税通知書には土地建物の標準課税額や面積、おおよその新築年などの記載があり、その中の1つに建物の「家屋番号」も一緒に記載されていることがあります。
家屋番号は登記されると付されるものですので、記載があれば登記されている可能性が高いということになります。たまに間違っているケースもありますが・・・。
なので建物登記簿と合わせて確認すると判断に間違いが少なくなります。
まとめ
建物を取り壊したら滅失登記が必要ですが、登記がない建物については滅失登記は必要ありません。
これに尽きますね。比較的新しい建物の取壊しであれば、時間をかけてご自身で申請される方もいらっしゃいます。
ですが、古い建物や既に存在しない建物など判断が難しいケースは土地家屋調査士に依頼するのが一番効率的かと思います。
建物滅失登記の概算費用
4万円~5万円 (税込み)